1916(大正5)年、山梨県立北杜高校の前身である北巨摩郡立農学校の開校記念として一期生によって植樹された学校のシンボルツリーです。「山梨の巨樹・名木100選」にもなっています。幹周約3.3m・樹高約30m。100年近い年月を経て、環境の変化に伴い樹勢に衰えが見られるようになってきました。2001(平成13)年に新校舎が完成し、プラタナスの周囲はコンクリートで舗装され、インターロッキングが敷き詰められました。2007(平成19)年には上部の枝の枯れが目立つようになり、その原因を探る調査を実施して対策を検討しました。

調査では、プラタナスの周囲に配置されたコンクリート製のサークルベンチの隙間から出た細根はインターロッキングと、その下のコンクリートの間の砂部分に多数確認することが出来ました。さらに、埋め土による太い根の枯死なども発見できました。以上のことも踏まえ、樹勢回復工事を実施。サークルベンチとその周辺のコンクリートの撤去及び土壌改良した客土を埋め戻しました。

2008(平成20)年4月下旬には芽吹きが見られ、夏には数年ぶりに葉が色濃く茂るようになりました。また、一年後の調査で、2m以上になる発根が確認でき、樹勢回復の兆しが見られるようになりました。ただ完全に回復したわけではなく、また、抵抗力が落ちている証拠に数種類の害虫被害も出ており、今後も注意深く見守っていく必要があります。

北杜高校のシンボルとして、毎朝、生徒を迎えてくれているプラタナス。夏は木陰となって生徒の憩いの場となり、卒業アルバムの記念写真の撮影スポットでもあります。生徒たちの思い出が詰まったプラタナスを後世に残していくことも私たち樹木医の役割です。

インターロッキングとコンクリート路盤の間(砂の層)に伸びていた根

コンクリート路盤撤去状況

サークルベンチ撤去後、土壌改良完成

土壌改良から1年後の根の状況

土壌改良から1年後の根の状況

平成29年 樹勢回復後、剪定をした姿