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樹木医の仕事

山高神代桜の樹勢回復事業(国指定天然記念物)

山梨県北杜市武川町山高

概要

山高神代桜は、樹齢1800年とも2000年ともいわれるエドヒガンの古木で、大正11年にサクラとしては第1号の国指定天然記念物となりました。同時に指定を受けた根尾谷薄墨桜、三春滝桜とともに、“日本の三大桜”と呼ばれています。
 天然記念物に指定された後、昭和10年頃までは、樹勢は比較的安定していましたが、徐々に主要な枝が枯れ始め、昭和34年には台風により太枝が折れ、被害は甚大なものとなりました。昭和59年には腐朽した主幹保護のために屋根つきの櫓が架けられたが、樹勢は著しく衰退していきました。平成13年に文化庁、山梨県と武川村(当時)教育委員会、大学や試験場の研究者、樹木医などからなる樹勢回復調査検討委員会が組織され、調査が進められました。その結果、天然記念物指定後に根元近くに石積みの囲いを設置し、盛土したことがわかってきました。昭和46年にはその外に2度目の石積み柵を設け、その中に盛土され、成育環境に大きな変化をもたらしたのです。盛土は一時的には樹勢回復に効果があったようですが、古い根への酸素供給が乏しくなり、地中深い所では根は枯れていきました。さらに盛土した土層は、土壌生物相が単純化し、そこに伸びた根にはネコブセンチュウが蔓延、瀕死の状態を招いてしまいました。
2006.04.03満開の神代桜.jpg2006年4月3日 満開の神代桜

jindai_mizugoke.jpg根を乾かさないためにミズゴケを巻いて保護した様子

根圏環境改善への取り組み

樹勢回復工事は2003年(平成15年)から始まりました。石積みで囲われていた根元周りを8分割し、毎年2箇所ずつ土を入れ替えていきました。
 根圏環境を改善することで、新たな発根を促しネコブセンチュウ病は、拮抗する土壌生物(主に有用な微生物)で抑制することとしました。
 工事は3年を経て樹勢回復の兆しが見られるようになってきました。新梢の伸長、不定芽の出現、早期落葉の改善、新たな発根などが確認できました。発根は1年で1m以上になるものもありました。
 しかしながら樹冠上部の枝の枯損、葉の矮小化など症状が改善されない部位もあり、予断を許さない状況は続いています。

16年神代桜 005.jpg土壌改良により伸びた根

16年神代桜 009.jpgネコブセンチュウにより枯死した根

16年神代桜 012.jpg

2006.04.03神代桜 006.jpg

2006.04.03神代桜 023.jpg神代桜2006.04.03神代桜 025.jpgたくさんの花を付けた